2016年10月17日月曜日
楽しいおもちゃ* レーザー加工機
ご家庭用の組み立て式レーザー加工機を買いました。
組み立てました。
つかってます。
こげくさい。
■SMART DIYs Fabool laser mini
■切れるもの、切りにくいもの、切れないもの
■レーザーで切れるしくみ
■不器用さんへ
■精度等 運用上の注意 ・ コゲるのか?
■SMART DIYs Fabool laser mini
http://www.smartdiys.com/fabool-laser-mini/
2016年6月ごろクラウドファウンディングで話題を集めた低価格レーザー加工機を購入しました。
話題の頃は仕事も生活もグチャグチャしており、すっかり記憶がカスレていました。一次出荷の評価を見て俄然乗り気になり、このほどようやく購入。
レーザー加工機は金属や石等も切れる高出力のものもありますが、ご家庭でとりまわせる範囲のものです。
仕様は発売元でしっかり公表されているので「明日にでも買うわ!!!」という人は全部読んできてください。それ以外の事を書いてます。
このブログは1:12スケールのミニチュアに似合うものや、10cm前後のお人形に合わせられる材質、加工、方法などをたまに扱っています。(本業はガラス工芸家です)
マイクロ単位の視線で物を見るのでその点ご留意ください。
■切れるもの、切りにくいもの、切れないもの
Fabool laser mini : FLM は1.6W(ベーシックモデル)のブルーレーザー光です。
出る光がブルーのため、青い色をしたものは切れにくいです。青でなくとも光をよく反射する白いものは切れにくいです。
購入したモデルでは鉄・ステンレス・ガラスとかちょっと無理っぽい。
ここ数日使ってみたところですと、材質によってレーザーが表面を侵す臨界点のようなのがあり、切れないものは何が何でも切れないっぽいです。
切れないものというのは次の段にも関連しますが、材質の厚みの都合で切れないものもあります。
表面が削れるだけに留まるかんじ。
切ってはいけないものは、切れるけど健康上の保障が難しいのでやめなされ、というやつです。
■レーザーで切れるしくみ
慣用表現として「焼く」と言ってますが、本当はちょっと違う。強いて言うなら「焦がす」のが近い。
電子レンジが食品を温めるように、エネルギーを与えてやれば何でも熱を持ちます。
レーザーは照射部分を加熱し、その結果蒸発させて穴を穿つ。その穴の連続で切断します。 (※切ったものをよく見ると、点々が見えます。)
加熱するので条件がよければ炎をあげて燃焼しちゃう材質もあります。
レーザーが特殊なのは焦点を持つ事です。
レーザー光が照射されても、焦点距離にないものは影響がありません。
レーザー加工機に焦点距離というのは重要です。
たとえば3mmの合板を切るのに、3mmの表面と底面では焦点距離の差で切れ方がかわってきます。 紙の表面に凹凸がある場合も同じで、具合よく焦点距離にあればきれいに切れる。
本来切れるものでも焦点距離が違えば切れない。
■不器用さんへ
レーザー加工機はイラストレーターで作った複雑なパスが出力できます。
紙・布・皮革・木材の切削、アルミ・ゴム等も多少は削れますし印字できます。
とってもステキ。
ただFLMは自分で組み立てしなければならないので、不器用さんは頑張ってください。
公式では「モニターテストで1~2時間」で組めたとの事ですが、事前に見回ったところそんな短時間で完成させた人はいません。多くの人が数日かけて完成させてました。
私も5時間ぐらいはかかりましたが、届いた翌日の夜は布を切って喜びの雄叫びをあげました。
箱の図面を引いてはげそうになってたのは翌々日ですね。
■精度等 運用上の注意 ・ コゲるのか?
・加工範囲 だいたいA4ノビ/公式データより、拡張フレームで伸張できる。
・精度 レーザー光:約0.2mm/公式データより 最小ステップ:約0.186mm/公式データより
組み立てが上手くいったのか私が使う大きさにおいては文句なし。カッティングプロッタより精度でます。
最小ステップから計算すると約186dpi、よく見ると点々が見えます。
ペーパーメディアでデザインする人は186dpiの線幅0.2mmといえば、攻め際が分かると思います。
線幅は0.2mmですが焼けて太るのも忘れずに。
・センサー類 物理スイッチ
光学センサーはついてないですね。作業単位ごとに原点へ戻って、原点への矩形距離で補正してるような動きです。原点から離れる地点ほど、工作精度は落ちる可能性があります。
・コゲるのか?
切った場所の焦げと、ヤニによる着色は気になるところです。
原因に対して対策がある。
はっきり言って断面の焦げは避けられませんが、焦げ色が薄いものもあります。
これと別に、断面付近の表面にヤニがついたりします。レーザーが蒸発させた素材の「気化」した「ガス」が付着したものです。表面が拭けるなら水拭きすればいい。マスキングテープで覆うのも有効。
しかし紙はどうしょもない。布は洗えば落ちるっぽい(予想)。
・ヤニ
前の段で「気化したガス」と説明しましたが、これまた切るものによって素材に混合されているモノが違うので、ヤニのつき方はさまざまです。木については原木の性質はもちろん、木材にする過程でヤニ抜きがどのぐらいかけられているかで決まる気がします(MDFがレーザーと相性いいのはこの理由)。
紙をいろいろ切ったので列挙します。
同じ種類の厚さの紙でも色によって切れやすさが違う 薄い色は切りにくい
白色の紙は切ってみないと分からない - 和紙のような風合いの紙は焦げ、ヤニともに全くないものがあった 逆に蛍光料が入ったような紙はヤニがひどく、手指にもよくついた
ケント紙、ボード紙などの厚紙はヤニや焦げを通り越してススが切り口についた
抜け側にヤニが目立つ事が多い 上面はきれいに見える紙が多い
・運用上の注意、ヤニ対策
ヤニ対策は同時に運用上の注意につながります。
ヤニは抜け側に気化したガスが溜まり、そのまま冷えて付着してるのだろうと予想しています。
この対策は簡単、網を敷けばいいのです。ガスが逃げればヤニはつきません。
しかし紙や布が相手だと普通の金網では網の表面を追従して焦点距離が合わなくなります。
そういう時は「アルミハニカムコア」を使いたい所なのですが・・・まだ入手できていません。
気化したガスは特に木材の場合、可燃性のガスですからバキュームしたほうがええですね。
純粋にケムいですし。
本格導入をお考えの方は集塵・排気構造も同時にご検討ください。